亡くなれる師がその昔
たまひたる
地理の本など取りいでて見る
Category Archives: 短歌
[it-i147] 忘れがたき人人 – 一 (46)
負けたるも我にてありき
あらそひの因も我なりしと
今は思へり
[it-i040] 煙 – 一 (40)
見よげなる年賀の文を書く人と
おもひ過ぎにき
三年ばかりは
[it-i071] 煙 – 二 (24)
我と共に
栗毛の仔馬走らせし
母の無き子の盗癖かな
[it-k111] 何か一つ
何か一つ
大いなる悪事しておいて、
知らぬ顔してゐたき気持かな。
[it-i017] 煙 – 一 (17)
花散れば
先づ人さきに白の服着て家出づる
我にてありしか
[it-k074] 八年前の
八年前の
今のわが妻の手紙の束!
何処に蔵ひしかと気にかかるかな。
[it-i065] 煙 – 二 (18)
ふるさとの
村医の妻のつつましき櫛巻なども
なつかしきかな
[it-i232] 忘れがたき人人 – 二 (20)
わかれ来て年を重ねて
年ごとに恋しくなれる
君にしあるかな
[it-k067] あやまちて茶碗をこはし
あやまちて茶碗をこはし、
物をこはす気持のよさを、
今朝も思へる。