しんとして幅広き街の
秋の夜の
玉蜀黍の焼くるにほひよ
Category Archives: 短歌
[it-i124] 忘れがたき人人 – 一 (23)
演習のひまにわざわざ
汽車に乗りて
訪ひ来し友とのめる酒かな
[it-i153] 忘れがたき人人 – 一 (52)
平手もて
吹雪にぬれし顔を拭く
友共産を主義とせりけり
[it-k007] 旅を思ふ夫の心!
旅を思ふ夫の心!
叱り、泣く、妻子の心!
朝の食卓!
[it-i227] 忘れがたき人人 – 二 (15)
かの声を最一度聴かば
すっきりと
胸や霽れむと今朝も思へる
[it-k066] ひと晩に咲かせてみむと
ひと晩に咲かせてみむと、
梅の鉢を火に焙りしが、
咲かざりしかな。
[it-i148] 忘れがたき人人 – 一 (47)
殴らむといふに
殴れとつめよせし
昔の我のいとほしきかな
[it-k132] 脈をとる手のふるひこそ
脈をとる手のふるひこそ
かなしけれ――
医者に叱られし若き看護婦!
[it-k178] かなしきは我が父!
かなしきは我が父!
今日も新聞を読みあきて、
庭に小蟻と遊べり。
[it-i008] 煙 – 一 (8)
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心