ある日、ふと、やまひを忘れ、
牛の啼く真似をしてみぬ、――
妻子の留守に。
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[it-k126] たへがたき渇き覚ゆれど
たへがたき渇き覚ゆれど、
手をのべて
林檎とるだにものうき日かな。
[it-k171] 胸いたむ日のかなしみも
胸いたむ日のかなしみも、
かをりよき煙草の如く、
棄てがたきかな。
[it-k009] 痛む歯をおさへつつ
痛む歯をおさへつつ、
日が赤赤と、
冬の靄の中にのぼるを見たり。
[it-k166] 放たれし女のごとく
放たれし女のごとく、
わが妻の振舞ふ日なり。
ダリヤを見入る。
[it-k124] 子を叱る、あはれ、この心よ
子を叱る、あはれ、この心よ。
熱高き日の癖とのみ
妻よ、思ふな。
[it-k164] おとなしき家畜のごとき
おとなしき家畜のごとき
心となる、
熱やや高き日のたよりなさ。
[it-k122] 胸いたみ
胸いたみ、
春の霙の降る日なり。
薬に噎せて、伏して眼をとづ。
[it-k144] やや遠きものに思ひし
やや遠きものに思ひし
テロリストの悲しき心も――
近づく日のあり。
[it-k117] 医者の顔色をぢっと見し外に
医者の顔色をぢっと見し外に
何も見ざりき――
胸の痛み募る日。