忘れをれば
ひょっとした事が思ひ出の種にまたなる
忘れかねつも
Monthly Archives: 12月 1910
[it-i223] 忘れがたき人人 – 二 (11)
山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり
[it-i222] 忘れがたき人人 – 二 (10)
馬鈴薯の花咲く頃と
なれりけり
君もこの花を好きたまふらむ
[it-i221] 忘れがたき人人 – 二 (9)
人がいふ
鬢のほつれのめでたさを
物書く時の君に見たりし
[it-i220] 忘れがたき人人 – 二 (8)
函館のかの焼跡を去りし夜の
こころ残りを
今も残しつ
[it-i219] 忘れがたき人人 – 二 (7)
真白なるラムプの笠の
瑕のごと
流離の記憶消しがたきかな
[it-i218] 忘れがたき人人 – 二 (6)
かの時に言ひそびれたる
大切の言葉は今も
胸にのこれど
[it-i217] 忘れがたき人人 – 二 (5)
世の中の明るさのみを吸ふごとき
黒き瞳の
今も目にあり
[it-i216] 忘れがたき人人 – 二 (4)
ひややかに清き大理石に
春の日の静かに照るは
かかる思ひならむ
[it-i215] 忘れがたき人人 – 二 (3)
さりげなく言ひし言葉は
さりげなく君も聴きつらむ
それだけのこと