目を閉ぢて
傷心の句を誦してゐし
友の手紙のおどけ悲しも
Author Archives: 石川啄木
[it-i107] 忘れがたき人人 – 一 (6)
船に酔ひてやさしくなれる
いもうとの眼見ゆ
津軽の海を思へば
[it-i106] 忘れがたき人人 – 一 (5)
わがあとを追ひ来て
知れる人もなき
辺土に住みし母と妻かな
[it-i105] 忘れがたき人人 – 一 (4)
函館の床屋の弟子を
おもひ出でぬ
耳剃らせるがこころよかりし
[it-i089] 煙 – 二 (42)
わがために
なやめる魂をしづめよと
讃美歌うたふ人ありしかな
[it-i088] 煙 – 二 (41)
今日聞けば
かの幸うすきやもめ人
きたなき恋に身を入るるてふ
[it-i072] 煙 – 二 (25)
大形の被布の模様の赤き花
今も目に見ゆ
六歳の日の恋
[it-i071] 煙 – 二 (24)
我と共に
栗毛の仔馬走らせし
母の無き子の盗癖かな
[it-i070] 煙 – 二 (23)
うすのろの兄と
不具の父もてる三太はかなし
夜も書読む
[it-i069] 煙 – 二 (22)
ある年の盆の祭に
衣貸さむ踊れと言ひし
女を思ふ