殴らむといふに
殴れとつめよせし
昔の我のいとほしきかな
Category Archives: 石川啄木
[it-i180] 忘れがたき人人 – 一 (79)
何事も思ふことなく
日一日
汽車のひびきに心まかせぬ
[it-i212] 忘れがたき人人 – 一 (111)
浪淘沙
ながくも声をふるはせて
うたふがごとき旅なりしかな
[it-i031] 煙 – 一 (31)
自が才に身をあやまちし人のこと
かたりきかせし
師もありしかな
[it-i063] 煙 – 二 (16)
石をもて追はるるごとく
ふるさとを出でしかなしみ
消ゆる時なし
[it-i095] 煙 – 二 (48)
ふるさとの土をわが踏めば
何がなしに足軽くなり
心重れり
[it-i127] 忘れがたき人人 – 一 (26)
こころざし得ぬ人人の
あつまりて酒のむ場所が
我が家なりしかな
[it-i159] 忘れがたき人人 – 一 (58)
子を負ひて
雪の吹き入る停車場に
われ見送りし妻の眉かな
[it-i191] 忘れがたき人人 – 一 (90)
死にたくはないかと言へば
これ見よと
咽喉の痍を見せし女かな
[it-i223] 忘れがたき人人 – 二 (11)
山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり