笑ふにも笑はれざりき――
長いこと捜したナイフの
手の中にありしに。
Category Archives: 短歌
[it-k128] いま、夢に閑古鳥を聞けり
いま、夢に閑古鳥を聞けり。
閑古鳥を忘れざりしが
かなしくあるかな。
[it-i203] 忘れがたき人人 – 一 (102)
十年まへに作りしといふ漢詩を
酔へば唱へき
旅に老いし友
[it-i086] 煙 – 二 (39)
閑古鳥
鳴く日となれば起るてふ
友のやまひのいかになりけむ
[it-i014] 煙 – 一 (14)
城址の
石に腰掛け
禁制の木の実をひとり味ひしこと
[it-i202] 忘れがたき人人 – 一 (101)
死にしとかこのごろ聞きぬ
恋がたき
才あまりある男なりしが
[it-i127] 忘れがたき人人 – 一 (26)
こころざし得ぬ人人の
あつまりて酒のむ場所が
我が家なりしかな
[it-k158] お菓子貰ふ時も忘れて
お菓子貰ふ時も忘れて、
二階より、
町の往来を眺むる子かな。
[it-k003] 途中にてふと気が変り
途中にてふと気が変り、
つとめ先を休みて、今日も、
河岸をさまよへり。
[it-k036] 昨日まで朝から晩まで張りつめし
昨日まで朝から晩まで張りつめし
あのこころもち
忘れじと思へど。