お菓子貰ふ時も忘れて、
二階より、
町の往来を眺むる子かな。
Category Archives: 短歌
[it-i137] 忘れがたき人人 – 一 (36)
しんとして幅広き街の
秋の夜の
玉蜀黍の焼くるにほひよ
[it-i177] 忘れがたき人人 – 一 (76)
うたふごと駅の名呼びし
柔和なる
若き駅夫の眼をも忘れず
[it-k113] 氷嚢の下より
氷嚢の下より
まなこ光らせて、
寝られぬ夜は人をにくめる。
[it-k147] 今日もまた胸に痛みあり
今日もまた胸に痛みあり。
死ぬならば、
ふるさとに行きて死なむと思ふ。
[it-i016] 煙 – 一 (16)
学校の図書庫の裏の秋の草
黄なる花咲きし
今も名知らず
[it-i064] 煙 – 二 (17)
やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
[it-k112] ぢっとして寝ていらっしゃいと
ぢっとして寝ていらっしゃいと
子供にでもいふがごとくに
医者のいふ日かな。
[it-k164] おとなしき家畜のごとき
おとなしき家畜のごとき
心となる、
熱やや高き日のたよりなさ。
[it-k064] 自分よりも年若き人に
自分よりも年若き人に、
半日も気焔を吐きて、
つかれし心!