わかれ来てふと瞬けば
ゆくりなく
つめたきものの頬をつたへり
Category Archives: 短歌
[it-k108] 軍人になると言ひ出して
軍人になると言ひ出して、
父母に
苦労させたる昔の我かな。
[it-k088] そんならば生命が欲しくないのかと
そんならば生命が欲しくないのかと、
医者に言はれて、
だまりし心!
[it-i050] 煙 – 二 (3)
ふと思ふ
ふるさとにゐて日毎聴きし雀の鳴くを
三年聴かざり
[it-k122] 胸いたみ
胸いたみ、
春の霙の降る日なり。
薬に噎せて、伏して眼をとづ。
[it-i127] 忘れがたき人人 – 一 (26)
こころざし得ぬ人人の
あつまりて酒のむ場所が
我が家なりしかな
[it-i125] 忘れがたき人人 – 一 (24)
大川の水の面を見るごとに
郁雨よ
君のなやみを思ふ
[it-k055] 家にかへる時間となるを
家にかへる時間となるを、
ただ一つの待つことにして、
今日も働けり。
[it-k071] 古新聞!
古新聞!
おやここにおれの歌の事を賞めて書いてあり、
二三行なれど。
[it-k184] 児を叱れば
児を叱れば、
泣いて、寝入りぬ。
口すこしあけし寝顔にさはりてみるかな。