函館の床屋の弟子を
おもひ出でぬ
耳剃らせるがこころよかりし
Category Archives: 短歌
[it-i169] 忘れがたき人人 – 一 (68)
名のみ知りて縁もゆかりもなき土地の
宿屋安けし
我が家のごと
[it-i083] 煙 – 二 (36)
馬鈴薯のうす紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に
[it-i055] 煙 – 二 (8)
二日前に山の絵見しが
今朝になりて
にはかに恋しふるさとの山
[it-k035] 年明けてゆるめる心!
年明けてゆるめる心!
うっとりと
来し方をすべて忘れしごとし。
[it-i154] 忘れがたき人人 – 一 (53)
酒のめば鬼のごとくに青かりし
大いなる顔よ
かなしき顔よ
[it-i221] 忘れがたき人人 – 二 (9)
人がいふ
鬢のほつれのめでたさを
物書く時の君に見たりし
[it-k067] あやまちて茶碗をこはし
あやまちて茶碗をこはし、
物をこはす気持のよさを、
今朝も思へる。
[it-i040] 煙 – 一 (40)
見よげなる年賀の文を書く人と
おもひ過ぎにき
三年ばかりは
[it-i118] 忘れがたき人人 – 一 (17)
漂泊の愁ひを叙して成らざりし
草稿の字の
読みがたさかな