夜おそく何処やらの室の騒がしきは
人や死にたらむと、
息をひそむる。
Category Archives: 短歌
[it-k026] 誰か我を
誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
[it-i082] 煙 – 二 (35)
ほたる狩
川にゆかむといふ我を
山路にさそふ人にてありき
[it-i107] 忘れがたき人人 – 一 (6)
船に酔ひてやさしくなれる
いもうとの眼見ゆ
津軽の海を思へば
[it-i018] 煙 – 一 (18)
今は亡き姉の恋人のおとうとと
なかよくせしを
かなしと思ふ
[it-k066] ひと晩に咲かせてみむと
ひと晩に咲かせてみむと、
梅の鉢を火に焙りしが、
咲かざりしかな。
[it-k032] 朝寝して新聞読む間なかりしを
朝寝して新聞読む間なかりしを
負債のごとく
今日も感ずる。
[it-k130] 閑古鳥
閑古鳥――
渋民村の山荘をめぐる林の
あかつきなつかし。
[it-i028] 煙 – 一 (28)
かぎりなき知識の慾に燃ゆる眼を
姉は傷みき
人恋ふるかと
[it-i016] 煙 – 一 (16)
学校の図書庫の裏の秋の草
黄なる花咲きし
今も名知らず